2016年1月21日木曜日

染織産地の歩き方を制作して



2013年1月、『Secori Book』という書籍を自費出版しました。

ロンドンから戻ったばかりで産地に訪れ始めた最初の頃です。


本にした理由は、今後のやりたいこと、やるべきことの方向がはっきりと見えた頃だったし、
日本に帰ってきてすぐの
自分の目に映る"日本の産地のものづくり"の新鮮な感動をしっかり形にしたいという想いもあり、

「 今後は産地とのものづくりが必須で、それこそ国内外のさまざまな人にアピールできる日本のものづくり」という考えを書籍として多方面の方とコミュニケーションを繋いでいきたいという考えも、いろいろありました。

もちろん継続するつもりでしたが、アルバイトをしながら産地を回っていた頃、
取材費以外の印刷代やデザイン費をどうしても準備できない状況が続き、第1号のままストップしてしまっています。気がつくと、取材して書いて伝えるという舞台は他媒体の書籍やウェブへと移っていました。

僕の悪い部分ですが、よりダイレクトな
コミュニケーション欲が高まり、コミュニティスペース「セコリ荘」を立ち上げたり、
セコリ荘の金沢店を作ったり、
ウェブメディアをリリースしたりと本作りの先の目的をふらりふらりと多方面から追いかけていました。

ある時から、神戸ファッション美術館のお仕事で
産地ツアー、産地講座、展示会を担当させて頂くことになり、神戸がある近畿の繊維産地のリサーチをはじめて、多くの産地の訪問取材をしました。
1年かけて西脇と泉州と丹後と滋賀にツアーをして、講座を4回開きました。

展示会は2015年10月から2016年の1月まで続くものでした。
神戸ファッション美術館に訪れるたくさんの方に、僕が感じてきた産地の魅力や存在をもっと知ってもらえるまたとない機会でした。

そこで、各産地で撮影した写真のパネル展示と、
姫路・西脇・丹後・西陣・高島・湖東・伊勢・奈良・和歌山・泉州の
近畿地方の10ヶ所の産地取材をまとめたガイドブックを作成して、
各産地の生地を使った特製ベンチと一緒に発表することにしました。

そうしてできたのがガイドブック『染織産地の歩き方 近畿編』です。


展示会場の特製ベンチに座って読めるように設置したガイドブックは、
日々の生活から遠くて近い、国内の染織産地への距離を感覚的に知っていただいて、
近い将来、興味のままにどこかの産地に訪れていただいたり、または僕らが企画している産地ツアーに参加していただいたり、セコリ荘に来ていただいたり、1冊から次へ繋がるガイドブックを目指しました。


紆余曲折というか、ひょんなことから、
3年ぶりに自分で文章と写真をまとめて
本を通して、メッセージをつくりました。

美術館とセコリ荘での販売以外に、「オンランセコリ荘」というサイトでも販売をはじめました。
そしたら、有り難いことに本を読んでくださった数人の方からメールが届くようになりました。

メールをたくさんいただく中で、
『Secori Book』を自費出版して手売りと
お問い合わせ販売した頃を強烈に思い出しました。
これは外部媒体の書籍をつくっても、連載をしてもなかなかないことです。

やっぱり自分で本を作って販売するから、生み出せるメッセージ、伝えられることが
確実にあるんだな、と激しく再確認しています。

今回は24ページの小さなガイドブックでしたが
年に1冊でも、次はSecori Bookというタイトルかそうじゃないかもですが
出版していく準備をしていこうと思っています。