2013年8月30日金曜日

ヤマナシハタオリトラベル

2013年8月27日に行われたヤマナシハタオリトラベルに参加して、
富士吉田産地へ行ってきました。



バスツアー当日は超晴天で新宿から富士吉田に向かうバスの中からも富士山がくっきりと見えました。
富士吉田の産地ツアーはロンドンにいる頃からシケンジョのブログなどを拝見していて、
「帰国したら是非参加してみたい」と気になっていました。




事前にメールで頂いた参加者用のツアー資料には産地の歴史から織物・織機の説明、
染色・加工についてまでの詳細な説明がされていて、予習にも気合いが入りました。
写真⇩は当日配布して頂いたガイドブックです。



ツアーは行きのバス内の自己紹介からはじまり、
お昼には富士吉田名物であるうどん屋さんでお腹を満たし、





午後からは織物工場・染色工場・整理工場と様々な工程を見学できる贅沢なルートで
空いた時間には透かさず、織物工場の見学が追加される完璧なツアーでした。


写真⇩は枷染めの染色工場さんで、上から吊るされた乾燥中の糸がとても美しかったです。




写真⇩は加工工場さんにある超音波裁断機で、高速で流れてくる生地を裁断している様子です。





富士吉田産地の最大の特徴の1つが多種多様な素材をつくる工場さんがいることだと思います。
そして東京から非常に近い。高速バスで新宿から約1時間半、鈍行列車で行っても約2時間半で着きます。
8月はバスで行ったのですが、先週行った際は富士山ブームでバスが予約でいっぱいだったので帰りは鈍行で帰ってきました。
(市内の電車の持ち手やシートが可愛かったので、鈍行で行くのもオススメです。)

この距離なので、デザイナーさんが産地に赴き、
そこで直接職人さんと対話をしながら時間をかけて生地作りをするという
理想の関係を築きやすいのかな、と思いました。

ゆくゆくは、1つのブランドが富士吉田内の複数の工場さんと異なる素材を作る、
ということも充分に可能性のあることだと思います。

具体的な素材イメージを持たずに、
「まず富士吉田に行ってみる」

そしてポリエステルを主に扱う工場さん、コットンを主に扱う工場さん、シルクを主に扱う工場さん、リネンを主に扱う工場さん、
と対話を始めさせて頂くのもいいかもしれないです。
(もちろんその場合は具体的な話に進むまでに時間を要するので、工場さんの負担になってしまうことを考慮しつつ。)


11月12日には「ヤマナシハタオリトラベル 秋の産地訪問バスツアー2013」が開催されますので、
富士吉田産地にご興味のある方は是非チェックしてみて下さい。
シケンジョのblogです⇩





2013年8月1日木曜日

尾道帆布


尾道にある帆布工場さんを訪れました。
今回は尾道帆布を使ってバッグを作っているテキスタイルデザイナーの近藤さんにご同行させて頂きました。
電車が通ってる尾道の本島から工場のある向島へは船で5分ほどです。
船は本島と向島を行ったり来たりしているので、「ちょっと本島まで買い物へ」という距離です。ただ有料なので、地元の方々は車で移動しているようでした。
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聞くところによると、向島から瀬戸内海を超えて、タオルの産地で有名な今治市までは道路が整備されていて、車で1時間強で行けるそうです。
帆布は字のごとく船の帆に多く使われていたので、瀬戸内海に面した尾道で栄えた織物です。
化合繊織物がない時代は太い綿糸を高密度に織られた帆布は、最も丈夫な織物として
船の帆、列車、テント、生活用品まで様々な用途に使われていたそうです。
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綿帆布は経糸と緯糸の撚り合わせ本数によって生地が1号〜11号まで規格分けされています。
号数は会社毎に異なるそうですが、お伺いした尾道の帆布工場さんで現在一番スタンダードな4号は経糸が6本撚り、緯糸は5本撚りです。4号となるとかなりの厚地です。
数字が小さくなるにつれて生地は厚くなり、1号というのは明治時代に汽車やトラック用に織られていましたがいまでは1号の製織はしてないそうです。
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漁業用衣類の袖のパーツの裁断をしています。
強く撚られ、高密度で織られた帆布は加工なしで水も弾きます。
ポリエステルだと空気も通さないので、使用していて内側が蒸れることになりますし、
用途によっては結露が出ることにもなるそうです。
向島内の帆布工場は、訪れた尾道帆布株式会社さんのみとなり、生産量は現象しましたが、
今でも多くの手作業が入りながら生活の中で活躍してくれているんだなと実感しました。