2016年12月4日日曜日

ものづくりプラットフォーム計画 in 八王子



懐かしい写真です。2013年3月5日に渋谷のアップリングで開催したシンポジウムです。
「ブランドと工場の共生」というテーマで織りの職人さんの宮本さん、プリントの職人さんの奥田さん、
デザイナーの玉井さん。ジャーナリストの砂押さんの司会で進行しました。

テーマにもなっている、ファッションブランドと工場の距離感について両者の立場から話し合っていただきました。
例えば中間業者を入れずに、デザイナーさんと職人さんが直接ものづくりをする時のメリットデメリット。実際の例も。
デザイナーさんが工場に足を運ぶとどんな素材開発ができるのか、
全国の産地の縮小の様子や現状なども。

3年半ほど前なので、細かい部分まで記憶していないのですが、会場からも意見が多数飛び交って、
とっても白熱したイベントになったことを覚えています。
このイベントのあとに、一緒に働きたいと言ってくれた男性が
僕に生産管理のイロハを教えてくれました。

年に数回このようなテーマのトークイベントを開催するようになるのですが
これが最初に主催したイベントでした。

イベントの半年ほど前にさかのぼり
開催までの流れを少し書きたいと思います。

当時、留学先のイギリスで、帰国して産地を見てまわるぞとほぼ決心がついた頃でした。
MA進学するなら授業開始が11月で、大学の授業は6月に終わっていて、
特に授業もミッションもなく残ったvisaで滞在していた頃だったと思います。

その時、八王子のみやしんが廃業するというニュースがネットでとても話題になりました。
僕が最初に見たのはFashionsnapの記事。

そして次にたどり着いたのが、
2012年9月19日の奥田さんのブログ。

▶︎みやしんの廃業について思うこと
『いいものを作ることと儲かることはそもそも違う』
http://blog.okudaprint.com/2012-09/miyashin

これを読んでみていただけたら分かると思いますが、
僕はすぐにでも宮本さんに話を聞きに行きたいと思って、
翌日にメールをして、翌週には八王子に飛んでいきました。

ですので、八王子は帰国してはじめて訪れた繊維産地で、
いちばん最初に会った職人さんが、みやしんの宮本さんでした。
この日が僕の活動の全てのはじまりになりました。

持っていった企画書を見てくれて、
「繊維産地、全てまわって来た方がいいね」と預かった資料を片手に、
翌週から夜行バス生活がはじまりました。

知識なしの状態で初めてあったのが宮本さんで
宮本さんから聞いた、“水ビ... 経糸緯糸...ドビー...二重織り..." などほとんど理解できていなかったですが、
全国の産地を訪ねて歩けば、そこに想像もつかない風景が待っているということはわかりました。
また、宮本さんは僕がやりたいことは、全国の産地訪問を続けた、その先にあると言ってくれました。

それから、12月いっぱいまでで、10箇所ほどの産地取材をして、
ある時にこの内容を本にしなくては、と思い、自費出版することになりました。
1月25日には出版イベントをしたので、9月から12月の3ヶ月で10回以上の出張に行って、
72ページを和英で書き上げて、写真も動画も自分で撮って、記事企画もプロジェクトにも関わっていたので、
今思うとすごいエネルギーでした。土日でアルバイトもしながら。
とはいえ、僕は書きたいことを書いただけで。文字編集、校正、英訳校正、デザイン、イラスト、動画編集、出版まわり、イベント企画...etc とにかく、たくさんの人に協力してもらって、やっと1冊ができて、出版イベントすることができました。
そして、その数ヶ月後、新宿の雑居ビルの屋上でビール片手に遭遇したのが奥田さんでした。
奥田さんと話をして、奥田さんのTwitterを見ていたら、
宮本さん、奥田さんをお招きしてトークイベントを開催したいと思い始めました。
お二人とも職人さんなので、素材にこだわったデザイナーさんもお招きして
双方の立場からものづくり、クリエーションというテーマで横断できたらいいなと考えました。

その後は、宮本さんにも奥田さんにもお世話になり続け...
八王子にも定期的に行って、
八王子ファッション協議会のツアーでは、はじめて経編やプリーツ加工を見せていただいたり。

そんな八王子のファッション協議会の2016年を締める重大なイベントで、奥田さんに素敵な機会をいただいて、僕の
これまでやこれからや、産地で見て感じた危機感と可能性、アイデアやものづくりの学校についてお話させていただくことになりました。

「ものづくりの学校」というのは、セコリ荘のブログに詳しく書きましたが
糸、織り編み、染色整理加工、縫製など学校があまり教えられない分野に特化した週末の学校です。
社会人なら川上〜川中の知識強化の場に使っていただいて、自信のフィールドに持ち帰って、
例えばブランドの国内生産強化に活かしてもらいたいなと思っています。

学生なら、就職先に川上川中の企業があるというのを選択肢の1つとなるように
情報や機会を使ってもらいたいと思っています。

学生と企業、情報、仕事をマッチングしていくプラットフォームです。
ざっくり書きましたが、これこそが“ものづくりプラットフォーム計画”で
来春から僕らの事業の真ん中に持ってこようと思っています。

学校の詳細は、年始に詳細を発表します。

話がそれましたが、八王子ファッション協議会でのイベントは
12月16日(金) 18時半から20時です。

僕が話下手なので、奥田さん山脇さん(EVERY DENIM)にも助けてもらうつもりです。
皆さん、是非お越しください。

会場:八王子市学園都市センター12F 第5セミナー室
〒192-0083 東京都八王子市 旭町9−1 八王子東急スクエア
http://www.hachiojibunka.or.jp/gakuen/gakuen_seminar.php

定員:40名(先着順)
参加費:無料
主催:八王子ファッション協議会

※このイベントは事前のお申し込みが必要です。ご希望の方は、必ず下記リンクより登録をお済ませください。
https://goo.gl/forms/Jd1IE1X4WI1uoH7E2



追伸
多くのご応募をいただき、定員に達したため、数日で締め切ってしまいました。
年末のこの時期で、八王子で18時半スタートだったので、弱気な会場選びでした。
第2回を開催しますので、ご期待ください!

2016年9月2日金曜日

仲間の募集をはじめました



2016年1月に更新したブログですが
2016年9月に加筆更新しました。



新年あけましておめでとうございます。


Secori Galleryは法人化していないので
「起業だ!」というようなノリはなかったのですが
開業日は2013年はじめなので、3年が経ったということになります。

特技も経験なく、経営センスなんて全くないのに
ヨチヨチながら、よく3年続けてこれたなぁと自分でも恐ろしいです。

けど続けてこれた理由は結構明解で、
本当に多くの先輩方と友人達に助けられてきました。
わからないことや困ったことがあったら
すぐに聞けて、時には叱ってくれる優しい先輩が周りにいて
度々、救われてきました。

こうやってブログで書くとなんかわざとらしいですが...

こんな形で活動しているので、
3年経ったいまも7割くらいは人伝でお仕事をいただいていると思います。

そして同時に、ひとりじゃなくチームで受けるようなお仕事も
周りの優秀な皆さんのお力があって乗り越えられてきたなぁと思っています。

あと、ライフワーク的に産地の工場に飛び回っていて、
年間の出張が30〜40回くらいだと思うんですが、
夜行バスとLCCにも助けられています。

30回の出張の移動を全て新幹線(平均往復30000円)とすると年間90万円のコストです。
これが、全て夜行バスとLCC(平均往復8000円)とすると年間24万円で、66万円も浮きます。

この2つの交通手段がなかったら、現場に行ける頻度が下がります。
工場さんとのやり取りも電話やメールで済ますことが増える可能性も。

やっぱり僕にとっては、現場に行くことはマストです。
定期的に顔を合わせたいです。

そんなこんなな事業主ですが、
仲間や税理士さんに助けてもらいながら、
なんとか気持ち良く新年を迎えられました。

2013年のセコリ荘立ち上げから関わってくれている仲間、
2014年の仲間募集からご縁があり参加してくれている仲間、
そして今年も、色々な関わり方、お仕事の仕方があると思うので、
いくつかの出逢いがあるといいなぁと思っています。


・取材、執筆、出版などメディア、インターネットまわり
-東京拠点、在宅執筆も可能です。
・セコリ荘の運営(ショップ、おでんバー)
-月島勤務。商品の販売、飲食スペース。
・ものづくり(素材、製品)
-経験者でないと厳しいかもしれません。
・産地-東京を行き来しながら、モノゴトを繋いでいく
-一緒に繊維の産地に行き、必要なことを考えます

主に上記の業務で連携できる方を探し始めています。

上記でなくても、各地でのライターさんやリサーチャーさんなど
この機会にご連絡いただけたら嬉しいです。

週7日、毎日違う仕事をしている週もあるので、
副業ワーカーさんや学生さんでも歓迎です。

おひとりずつ丁寧にご対応したいので、ひとまず求人サイトなどには出さず
募集期間も特に設けず、このブログで募集を続けたいと思っています。

コチラ にエントリーフォームを用意しました。

「ウチで働くとメリットたくさんあるよー!」
とは強気では言えないですが、少しでもご興味あってご検討いただけたら嬉しいです。


今年のSecori Galleryもよろしくお願いします。


2016年8月18日木曜日

ツルヤとセコリのオーダーシャツの倉敷受注会



前回のブログでも触れましたが、
今週末(8/20と8/21)にツルヤとセコリのオーダーシャツの受注会を倉敷で開催します。


お世話になっている機屋さんのご好意で、レトロなミシンから本格ミシンまで並ぶ素敵な場所をお借りすることができました。

服飾専門学校だった建物を活用されて、光がたくさん入る心地よいアトリエスペースです。
会場 : 倉敷市美和町1-8-5 3F (Google Map : https://goo.gl/maps/dEcu3X55VZ82 )



受注会に向けて、今週いっぱいは倉敷内の工場さんを巡っています。

機屋さん、加工屋さん、縫製工場さん。
倉敷産地ですので、コシのある綿織り物を多種揃えたいと思っています。




さらに、今回EVERY DENIMのお二人も受注会場に来てくれて、
ジーンズの試着受注会をしてくださることになりました。

それに合わせて、EVERY DENIMセレクトのデニムシャツ生地もランナップに並びます。
デニムセットアップもおすすめです。

ツルヤとセコリのオーダーシャツ× EVERY DENIM の特別モデルも誕生したのですが、
詳しくまた書きたいと思います。



受注会では、倉敷産地の素敵な生地がたくさん並びますので、
生地だけでもお気軽に見に来ていただけると嬉しいです。

日時 : 8月20日・21日 11:00〜18:00
会場 : 倉敷市美和町1-8-5 3F (元・山内服飾専門学校)
お問い合わせ : secorisou@ジーメール


2016年8月17日水曜日

倉敷移住計画


        倉敷滞在 : 2016.08.15~08.25 


金沢に続く、セコリ移住計画・第2弾の滞在先が倉敷になりました。

金沢には20日間の滞在ができたので、
福井方面にも足を伸ばせたり、石川県内の工場さんに連日訪問することができました。

おかげで商品企画や工場さんとのお取り組みもじっくり練ることができました。
セコリ荘金沢店を基点に制作する書籍も無事スタートを切ったところです。

倉敷では「IDEA R LAB」に滞在させていただきながら、
今回は10日間という短めの期間ですが、日頃からお世話になっている皆さん、工場さん、
これまで訪問が叶わなかった方々に時間いっぱいまでお会いして、岡山を回りたいと思っています。

お盆もやっと明けて本格的な倉敷での活動は今日から始まります。
どんなものづくりに出逢ったか、取材の報告は後ほど整理して更新したいと思います。

また、この倉敷滞在中に、セコリ荘とツルヤシャツ株式会社が共同企画する
"ツルヤとセコリのオーダーシャツ"の受注会を開催できることとなりました。

岡山の会なので、岡山の技術の詰まった生地をたくさんご用意して
秋冬向けの生地提案をしたいと思っています。

ツルヤとセコリのオーダーシャツの受注会
日時 : 8月20日・21日 11:00〜18:00
会場 : 倉敷市美和町1-8-5 3F (元・山内服飾専門学校)
お問い合わせ : secorisou@ジーメール / 08053780847(宮浦)
詳細 : http://secorisou.com/post/148979033912/


受注会場では、産地内の生地が並びますので、
気になる方、お近くの方は寄っていただけると嬉しいです。

2016年7月6日水曜日

金沢移住日記

セコリ移住計画・金沢編がスタートして最初の平日を過ごしています。



金沢滞在中の拠点(セコリレジデンス)として、築130年の町家を借りました。

広すぎて、2階は全く使っていない状態なので、
金沢に来る予定のある方は是非泊まりにきてください。
4部屋くらい余っています。

お風呂はないですが、そのおかげで最高の温泉生活です。
徒歩3分のところにみろく温泉があります。

むしろ、このセコリ移住計画のタイミングに合わせて
金沢出張(旅行)を組んでいただけたら、とても嬉しいです。
7/20まで金沢滞在している予定です。

北陸地域を取材したい方、北陸でものづくりをしたい方
美味しいご飯を食べたい方、是非。

「セコリ移住計画」がスタートして、
工場に行ったり、取材をしたり、ものづくりに絡んだり、
書籍づくりに着手したりしています。

来るまでの意識の先は、移住先地域や人でした。
けど、実際に金沢に来てから、不思議なほど東京や関西の方々と出逢う機会が連発しています。

以前、CEMENT PRODUCE DESIGNの金谷さんと、
"飲みましょう!"というお話になった時、(僕は東京拠点、金谷さんは大阪拠点)
金谷さんは本当にあちこちに出張されていて、
飲み会の日時が確定できるまで1ヶ月くらいかかったことがありました。

しかし今回、金沢に来てからのメッセンジャーの往復数回で
"来週金沢でお会いしましょう & 「金沢ミニLOBBY」を開催しましょう!"
とすぐに話がまとまりました。
※LOBBYとはCEMENTさんが各地で展開する異業種交流会です。

とうことで、7月11日月曜日の夜は、金沢LOBBYがあるので
金沢の方も、県外の方も、是非ご参加を。



会場は「cocochi最中」で19:30スタート
イベント詳細 : https://www.facebook.com/events/1008463255935888/

金沢での滞在先をご紹介してくれた、金沢R不動産の社長さんの
「金沢に移住してから、東京の人ともゆっくり会えるようになった」
という言葉を思い出して、確かにそうかもなぁと思っているところです。


2016年7月1日金曜日

金沢移住計画






セコリ移住計画の最初の滞在先は金沢。

プロジェクトの詳細は以前のブログにも書きましたが
セコリレジデンスをポップアップさせることで
地域の取材活動、現場訪問に加えて、 “相乗り移住"として県外からの出張者
に宿泊先もご提供して、どんどん招いていければと考えています。

今日から20日間金沢が拠点です。

セコリ移住計画の次は8月下旬に岡山でレジデンスが決まりました。

7月下旬〜8月上旬は未定なので、
良い滞在先、活動先があったら是非教えてください。

金沢での取材内容や街並みの様子はSNSでも是非チェックしてください。

2016年6月9日木曜日

セコリ移住計画

既にセコリ荘のブログでもお知らせしたのですが、
今年は、セコリ荘の営業を夏季休暇にして「セコリ移住計画」という
実験的プロジェクトをスタートしてみたいと思っています。




まずは短めのトライアルです。

昨年のrooms31に出展した際に
「セコリの声」と題して、壁面にいろんな記事を掲載させてもらって、
そこで「セコリ移住計画」を決意表明したのですが、実行するまでに1年近くかかってしまいました。

その時の記事はこちらです



ちょっと読みづらいですが、記事はこのページからも。

産地訪問を続ける中で、ある時にふと...
「出張取材だと夜までの便で帰らないといけないから、例え取材が中途半端でもなんでも、時間がきたら
終了になってしまうんだよなぁ。残念だなぁ。」

という気持ちになりました。取材が中途半端にならないように組むのがプロだと思うのですが、
なんというか、僕はきれいに記事を作るのが最終目的ではないので、
生産現場の連続取材において、中途半端だと感じてしまうことは少なくなかったんです。

例えば、訪問日に見たい工程が見れないことなんて珍しくないし、
取材先で「あっ、あそこ紹介してあげるよ」という嬉しい展開もあります。

という経験が何度も続いたので、キャンピングカーに乗って数ヶ月に渡り各地を巡りました。
帰るという概念がなくなったので、満足するまで滞在して取材ができて、
紹介していただく流れに乗って、訪問先が次から次へと繋がったり、
キャンピングカーでないとできない経験を重ねることができました。

そして次に感じたのが、1つの産地(工場)についてもっと深く知って考えたいし、
一定期間いるから見えてくる景色があって、そこにしばらく滞在するからこそできることがあるということです。

例えば、僕らは国内外のブランドさんに素材提案をしています。
1週間じゃ無理だけど、2週間も産地内にいれば20~30社くらいお邪魔して条件に合いそうな素材サンプルをお借りして
即席のテキスタイルショールームがつくれます。場所はどこかをお借りして。
そこで、産地内から情報を配信したり、滞在中に産地ツアーを企画したり、
ブランドさんに現場に来てもらうこともできると思っています。
また、わかりやすく情報をまとめておくことで、メディア関係の方にも
良い情報提供や、取材のお手伝いをできるかもしれません。

さらに、工場さんの情報発信や展示企画や商品化に携わらせてもらう機会も増えてきたのですが、
これも中・長期間滞在すれば、もっと深い展開ができると思っています。

他にもいろいろとふわりと感じたことは多いですが
全てキャンピングカーで小滞在を繰り返したから見えてきた景色です。

僕にとって記事を書くのは、あくまできっかけづくりというか、産地の魅力を伝えるツールなので
いま、その先に踏み込むフェーズにきていると思っています。
ツルヤシャツさんと協同して、受注会と生産と納品までしていますが、
1つの企業さんとのお取り組みで、僕らにしかできないことがまだまだあると思っています。

東京に軸足があって、平日産地に行って週末はセコリ荘を開くのも
好きな産地に飛んでいける利点がありますが、長くて3日半という時間制限があります。

キャンピングカーでの訪問は、時間に縛られず、広く足を伸ばせる利点がありますが
移動生活に向いている形態だと思います。

セコリ移住計画はその先のステップで、あちらこちらに行くことはできないけど
1つの産地にどっぷりできるという利点があります。

1つの地域に半年ずつとか1年ずつの滞在を構想していたのですが、
いきなり半年レベルの滞在はいろいろとハードルがあるので、
まずは2週間や3週間でトライアルステイしてみたいと思っています。

6月26日日曜日の営業で東京のセコリ荘は夏休み入りして
まず、7/1から3週間を目処に金沢を拠点にします。

金沢には、セコリ荘金沢がありますが、
僕らも乗り込んで取材強化したいと思っています。

福井、石川にはこれまで生産をお願いしてきた企業さんが多数あって
工場さんとのお取り組みもいろいろと水面下で複数あるので
そういった企画を走せたいと思っています。滞在したら見えてくる景色がさらにあると思います。

そこで、7/1と7/2は産地ツアーを企画しています。
詳細はセコリ荘金沢のホームページにアップしました。

7/16と7/17の土日では、ツルヤとセコリのオーダーシャツの
北陸産地の生地推しの会で開催します。

7月下旬は東京に一時ステイして
藍の生葉の時期なので、ワークショップなどを開きたいと思っています。

8月に入ったら、次は山形か岡山への滞在を考えていますが
滞在先が未定なので、決まったらお知らせします。

2016年3月21日月曜日

何を教わるかでなく、何を学ぶか。

毎年、2月、3月になると、教育関係の連絡が増えます。
前年から詰めてきたカリキュラムが最終決定する頃で
年間スケジュールの調整と、学校案内も制作開始となる時期です。

僕は杉野服飾大学という目黒にある服飾大学(昼間)と
エスモードという恵比寿にある専門学校(夜間)にダブルスクールしていたので
3年ほど前から、この2校の卒業生紹介に載せていただいているので
毎年、OBとしてのコメントを送ったりインタビューに来ていただいています。

事業がこけて業界から姿を消したり、掲載するキャッチーさがなくなると
こういうインタビューもなくなるんだろうなぁと思います。



セコリ荘金沢が金沢文化服装学院(通称 : カナブン)との出逢い、ご協力のもと
昨年オープンしたこともあり、金沢店の下山と一緒にカナブンの授業を担当させてもらいます。
北陸産地の企業さん、カナブンの学生さんと一緒に商品企画をしていきます。
産地に近い服飾学校の強みは間違いなくここにあって、東京では実現が難しいことです。
感性の鍛錬だけでなく、1年かけて企業の持つ特徴を理解したうえで工場と一緒にものづくりをする方法、
工場に拠点が近いことの利点を体感してもらいます。

今年からは、尾州・有松産地と距離の近い、名古屋芸術大学でも客員教授として呼んでいただき、定期的に通うことになりました。
こちらはまたの機会に詳細を書こうと思います。

こういう授業担当のお話はこれまでも何度かあったのですが、お断りしてきました。
"僕が学生さんに教えるなんてまだまだ早い、教えられることなんてない。"というのが大きな理由で、
同時に"僕だけができることではない、自身の事業に注力すべき。"という考えがありました。

僕らが進める「Secori Gallery」は、全国のものづくり現場を訪れて、魅力や技術をどんどん発掘発信して、国内外の相性の良いブランドさんにどんどんマッチングして(ブランドさんを工場さんにマッチングして)、ものづくりの創出、活性、発展に繋げること。そして、紙や空間やウェブを通じて、文脈や背景に共感してもらう層を増やしていくこと。が大きなミッションと言えます。各現場と東京を行き来していると本当にやれることは山ほどあります。毎年チャレンジの連続です。2012 年から事業をスタートして、いまだ小規模で社会的インパクトも持ち合わせず、国内の繊維企業は年々高齢化していき、後継者問題もあり可能性と同じくらい課題もあり、新しい動きも多発している、そんな中で優先順位がある、という考えを持ってきました。

産地に近い学校だからできることを書きましたが、そこに、僕らにしかできないこといまやるべきことが重なったこともあり
今年は責任をもって授業を担当することにしました。そんな背景もあり、OBとしてのコメントやインタビューに加え、
これまでの特別授業やセコリ荘での学生さんとの接点、年間で授業を担当することになり、改めて教育について考えてみました。

「学校が学生に与えられること」って語り切れるくらい、与えられないことの方が多いと思います。
これは僕が学生時代からわかっていたので、現役の学生さんも教員の皆さんもわかっていることだと思います。
単純な知識や技術だったら時間とお金をかけて全日にいく必要はないですよね。
オンラインや短期講座もあるし、現場でも学べます。かといって"コミュニケーション力を養う"とかそういうことでもないです。
欧米教育を例に挙げたくはないですが、僕が通っていたLCFは入り口のレクチャーと出口のフィードバックだけはしっかりあって、
あとは個々の感性と努力でした。それで同期のみんなや先輩後輩は業界でしっかり活躍しています。
先生も間違うことは多々あるし、現場自体を離れてる人もいるし、現場にいるけどこれから業界を目指す若者達にベストマッチとなる経験をリアルタイムで更新できていない方々もいるので、どう考えても"教えてもらおう"という受け身は根本的に間違えていると思います。

理想は、これから何がしたいか、何を学びたいか、具体的にどんなスキルを磨きたいか、を日々突き詰めて
学校や教員をとことん利用して自分で環境を整えて、設定した期間で設定した目標を超えていくことだと思います。
産業が多様化して、次の時代に必要なスキルも更新の連続なので、当然教育も更新が必要で、フォーマット対応が不可能です。
これに対して教える側ができることは、学校が求める最低限の任務を果たしてうえで、学生ひとりひとりの課題や目標に必要な距離感(近すぎないという意味)で一緒に考える個人コンサルやメンターのような役割を担い、
そして、学生のやる気に火をつけることに尽きると思っています。

高校卒業時で指針が定まらないから、進学しているというのもあると思いますが、
だからこそ早いうちに受け身からの転回が重要だと思います。

学校全体してはもっとカラーをつけて学生の為にも、学校という箱自体をデザインする必要もあるのかなと思います。それが難しいのは良くわかっていますが。

普段仕事の中でもよく思うのは、好きなことを本気でやってる人は最強ということです。
お金の為とか、嫌々やってる人ってやっぱり全然魅力的じゃないし仕事の質も低いし、すぐにバレます。
学生ひとりひとり好きなことは違うし、好きなことってそんなに早く見つからないかもしれないけど
できるだけ早く発見して、やる気に火をつけて、トライ&エラーを繰り返して、壁にぶつかった時にはそっと見守り、必要ならフォローして、そしてどんどん伸ばしていき、卒業して仕事に就いたあとも先生でいられる、みないなことができる人が良い先生なんだなぁ、ざっくりですが、思ったことです。

超当たり前なことを書いてしまいましたが、おもいを込めてブログに残しておきます。

2016年1月21日木曜日

染織産地の歩き方を制作して



2013年1月、『Secori Book』という書籍を自費出版しました。

ロンドンから戻ったばかりで産地に訪れ始めた最初の頃です。


本にした理由は、今後のやりたいこと、やるべきことの方向がはっきりと見えた頃だったし、
日本に帰ってきてすぐの
自分の目に映る"日本の産地のものづくり"の新鮮な感動をしっかり形にしたいという想いもあり、

「 今後は産地とのものづくりが必須で、それこそ国内外のさまざまな人にアピールできる日本のものづくり」という考えを書籍として多方面の方とコミュニケーションを繋いでいきたいという考えも、いろいろありました。

もちろん継続するつもりでしたが、アルバイトをしながら産地を回っていた頃、
取材費以外の印刷代やデザイン費をどうしても準備できない状況が続き、第1号のままストップしてしまっています。気がつくと、取材して書いて伝えるという舞台は他媒体の書籍やウェブへと移っていました。

僕の悪い部分ですが、よりダイレクトな
コミュニケーション欲が高まり、コミュニティスペース「セコリ荘」を立ち上げたり、
セコリ荘の金沢店を作ったり、
ウェブメディアをリリースしたりと本作りの先の目的をふらりふらりと多方面から追いかけていました。

ある時から、神戸ファッション美術館のお仕事で
産地ツアー、産地講座、展示会を担当させて頂くことになり、神戸がある近畿の繊維産地のリサーチをはじめて、多くの産地の訪問取材をしました。
1年かけて西脇と泉州と丹後と滋賀にツアーをして、講座を4回開きました。

展示会は2015年10月から2016年の1月まで続くものでした。
神戸ファッション美術館に訪れるたくさんの方に、僕が感じてきた産地の魅力や存在をもっと知ってもらえるまたとない機会でした。

そこで、各産地で撮影した写真のパネル展示と、
姫路・西脇・丹後・西陣・高島・湖東・伊勢・奈良・和歌山・泉州の
近畿地方の10ヶ所の産地取材をまとめたガイドブックを作成して、
各産地の生地を使った特製ベンチと一緒に発表することにしました。

そうしてできたのがガイドブック『染織産地の歩き方 近畿編』です。


展示会場の特製ベンチに座って読めるように設置したガイドブックは、
日々の生活から遠くて近い、国内の染織産地への距離を感覚的に知っていただいて、
近い将来、興味のままにどこかの産地に訪れていただいたり、または僕らが企画している産地ツアーに参加していただいたり、セコリ荘に来ていただいたり、1冊から次へ繋がるガイドブックを目指しました。


紆余曲折というか、ひょんなことから、
3年ぶりに自分で文章と写真をまとめて
本を通して、メッセージをつくりました。

美術館とセコリ荘での販売以外に、「オンランセコリ荘」というサイトでも販売をはじめました。
そしたら、有り難いことに本を読んでくださった数人の方からメールが届くようになりました。

メールをたくさんいただく中で、
『Secori Book』を自費出版して手売りと
お問い合わせ販売した頃を強烈に思い出しました。
これは外部媒体の書籍をつくっても、連載をしてもなかなかないことです。

やっぱり自分で本を作って販売するから、生み出せるメッセージ、伝えられることが
確実にあるんだな、と激しく再確認しています。

今回は24ページの小さなガイドブックでしたが
年に1冊でも、次はSecori Bookというタイトルかそうじゃないかもですが
出版していく準備をしていこうと思っています。